声だけで温度をつくる──“顔出ししない配信”が教えてくれる素の新井リマ
最初に触れておきたいのは、彼女が「声だけ」で成立させるコミュニケーションの作法だ。SNSの動画や取材での存在感からは想像しにくいが、彼女はツイキャスで音声中心の配信を繰り返し、深夜帯でも「声の表情」だけで場を保ち、緩め、締める。プロフィール欄には「LIGHT所属∥2021.06.24 SOD debut」という素っ気ない記載と、レベルやファン数といったゲーム的メーターが併記されるが、そこに映るのは“無音の間”の扱いが異様に上手い話者の横顔だ。視線が奪える動画環境と違い、音声だけの場は「言葉の温度差」でしか距離調整できない。彼女はその難しさを楽しんでいるふうに見える。配信ページのログからも、音声配信を重ねていることと、ファン(サポーター)との往復の多さがうかがえる。
アーカイブの量と回転も特徴的だ。369本以上の履歴が並び(時期によって変動はある)、音声アーカイブだけで小さな「個人ラジオ」の体系ができている。ライブは長くても90分前後に収め、余韻を残す終わり方を好む。プラットフォームの数字(レベル36、ファン数1000超)に表れるのは、作業用BGMのように流しっぱなしにされる音声ではなく、たぶん“聴かれる”ことを前提にした話し方だ。映像を切り離してなお成立するテンポ、語尾の丸め方、合いの手の短さ。視覚的身体性が武器の職業人が、音声だけの場に居場所を作っている事実は、彼女の「声と間」の調整力を示すエピソードとして見過ごせない。
象徴的だったのは、本人がXで「マイクの存在忘れてるし多動出てるけど見て」と茶化した投稿だ。映像では黒のホルターネック水着でインタビューに答える姿が拡散され、そこで彼女は“喋り”によって場の湿度を上げていく。自己ツッコミで緊張をほぐす癖は音声配信でも同じで、マイクを「忘れる」軽さが、音の世界にいるときの彼女をよく表している。視線・表情の演技が通じない音声だけの場で、彼女が頼るのは声の芯とリズムだ。その地の文としての声の強さが、後述する撮影会やテレビ番組での“回し”の上手さにもつながっている。
音声の居場所と並行して、可視的な“場”でも彼女は「会話」を起点に空気を整える。声の場で鍛えた呼吸は、ファンイベントでも、即興で相手の速度に合わせる適応力として効いている。とりわけ、相手の言い切りを待つ“間”の取り方は、声の配信で生まれた癖だ。アイドルでも女優でも「間」を自覚的に磨く者は強い。彼女のケースでは、その“間”が、のちに大規模な撮影会でのひと対多数の会話制御にも転化していく。
プールサイドの“回し”──TREND GIRLSで見えた現場エンジン
2024年と2025年にまたがって、彼女の名を一段押し上げたのは、プールを貸し切った国内最大級の撮影会「TREND GIRLS」だ。2024年は台湾のJKFとコラボして“日本初、セクシー女優のみのプール大型撮影会”として大規模に可視化。ステージに出ると彼女は、ツインテール×水着という強い記号で登場しつつ、WWSチャンネルのマイクに向かってイベントの盛り上がりを端的に伝える。コメントは短く、笑いは細かい拍で挟む。観客の温度を読み、インタビュアーの問いを“回す”タイプの喋り手だ。
翌2025年、会場は埼玉の「しらこばと水上公園」。黒のホルターネック水着での受け答えは、“大人可愛い”という見出しのままに、落ち着いたトーンで会場全体の空気を言語化していく。ステージ脇での短い受け答えにして、観客のテンションや列の詰まり具合など具体の体感に言葉を寄せる。それは「現場に居合わせた人の熱量」を外部へ持ち出す翻訳作業だ。プレスが欲しいのは“温度の記述”であり、彼女はそれを提供する。その様子は記事にも動画にも残っている。
現場のディテールはファンのレンズにも刻まれる。頭に小物を“乗せると盛れない”と冗談を言いながらもきっちり仕上げてくる、と撮影者が書く。現場の空気を吸って言葉に変換する速度が速いのは、日常的にツイキャスで“声の間”を鍛えているからだろう。彼女の強さは、外形的には水着の記号性だが、内側では「場を回す話術」にある。プールサイドでの数分のやり取りに、その職能は如実に表れる。
TREND GIRLSの当日運営にも、彼女の“間”はフィットしていた。出演者の数は100名規模に膨らみ、ミーグリやネットチェキの事前販売など、ファン接点のデザインは多層化。列が捌けないストレスの起点は「言葉の滞り」にあるが、彼女は短い言葉のキャッチボールで流れを作る。運営の導線設計(ワイドチェキの事前販売や引換方式)と、彼女の“回し”が噛み合って、大規模イベントの体感がスムーズに立ち上がる仕組みになっていた。
2024年版のイベント紹介記事の書きぶりにも、彼女が“盛り上げ役”として機能していることはにじむ。メディアの側が求めるのは、写真で「映え」、コメントで「温度」を伝える二層の情報だ。そこで彼女は、写真で記号性を、言葉で温度を渡す。ステージでのランウェイ映像や、個別インタビュー動画には、その二層が明確に刻まれている。
2025年版では、主催の公式アカウントやパートナーのSNSでも、黒水着の彼女を露出のハイライトに置いている。映像化された“回し”は、次の動線(集客・販売・再生)を引っ張る。SNSに転載されたダイジェスト、ニュースサイトへの二次配信と連鎖し、会場の熱は外部に持ち出される。その連鎖の起点に立てる人間は、実は多くない。
「弱さを持ったまま前に出る」──ABEMA『愛のハイエナ』での自己開示と距離感
“ピュア恋”の愛称で知られるABEMAの人気企画『ピュアな恋しちゃダメですか?』第4シーズンで、彼女は「恋愛リアリティ」の文法に自分の呼吸を持ち込んだ。セブ島を舞台に、カメラが回り続ける環境で、彼女は“カラダ目当てはもう嫌”という番組の軸に、自分の言葉で距離を与える。現場での告白やキスの瞬間を、視聴者が欲する“高揚”として消費させるだけでなく、その前後の恐れやためらいも見せた。メディアの書き起こしは、そこに「壮絶な過去」「不信感」といったラベルを貼るが、彼女自身は番組内の言葉でそれを扱う。
彼女はときに“年商1億円の不動産経営者”と成立したカップルの文脈に置かれ、番組は彼の昂ぶりに寄り添う編集で盛り上げる。それでも彼女の側は、視線と間合いで場の速度を落とし、自分の言葉の速度に合わせ直す。リアリティ番組の定石からすると「編集に飲まれない遅さ」を持ち込む態度で、その遅さが結果的に彼女の“素”を伝える。ニュースの見出しは高揚に寄るが、映像の内側では、彼女の発話が空気の粘度を変えている。
番組の公式アカウントやダイジェスト動画でも、彼女の“遅さ”は印象に残る。短いティーザーで構成される無料パートでも、微細な表情の変化と、語尾のほどき方が抜かれ、そこに“ピュア恋”の核が可視化される。SNSの告知文言は「急展開」「ガチキス」といった速い言葉を並べるが、彼女の身体が選ぶのは、カメラの前で“遅くなること”だ。そこに、音声配信やイベント現場で育ててきた「間」の美学が、別ジャンルで反復されている。
番組のエコシステム(本体、公式動画、外部メディアの書き起こし)が拡張するほど、出演者は“見られ方”の管理が難しくなる。彼女は放送当日のXで淡々と視聴を促し、過剰な感想を流さない。「このあと23時から」「最終回です」と、過不足のない案内だけを置くのが、彼女の広報の癖だ。それは自分の物語のハンドルを握り続けるための距離の取り方に見える。
番組そのものの牽引力は、プレスリリースが示す通り大きい。視聴記録の更新が話題になる中で、出演者としての彼女は「波の中で溺れない」歩幅を守る。ラベリングや過度な“物語化”に絡め取られないよう、視聴導線は最短に、言葉は最少に。それは、現場で“回す”ときの多弁さと対称にある、抑制の美徳だ。
初映画出演で見せた“笑いの間”──『ネトラレ、純愛。』のアカリ役とフェスの熱
劇映画の現場に初めて立ったとき、彼女が持ち込んだのはやはり「間」だった。堂ノ本敬太監督の『ネトラレ、純愛。』で彼女は“アカリ”を演じる。ピンク映画を新作一挙で特集する「OP PICTURES+フェス2024」内の一本で、会場はテアトル新宿。ラブコメの形式で、真面目な会社員ケン、ネトラレ愛好家のチカ、そしてアカリたちが入り組む。作品紹介の文章は軽やかだが、70分という尺の中で、おかしさを生むのは“言わない間”“見つめる遅さ”で、その呼吸は彼女の本領でもある。
フェスの予告編や個別のトレーラーでも、彼女のショットは「視線の置き場」から始まる。言葉より先に視線が動き、微細な口角の揺れが次のセリフの温度を決める。キャリアの多くを即興性の高い現場で過ごしてきた出演者にとって、映画の“決められた間”は制約であり解放でもある。彼女はそこで“遅い”を武器に変える。短いセリフの後に置く1拍の余白、その1拍が、観客の笑いを引き出すトリガーになる。
公開ののち、名古屋のシネマスコーレでもフェス回として上映され、舞台挨拶の現場熱がSNSに散らばった。監督や共演者の投稿が連なるタイムラインには、地方館が持つ“近さ”のエネルギーが残る。配給ラインや上映スケジュールの更新に合わせて、彼女の名前は“ピンク映画の祭り”という文脈の中で、劇映画の画面でどう“間”を手放すかを学んでいくプロセスの痕跡を残した。
レビューサイトの点描には、作品全体のトーンに対する好悪が分かれつつも、“SEXYと笑いの混淆”に触れる短評が重なる。ラブコメとしてのスピードに、彼女の遅さが継ぎ目なく混ざっているからだ。劇映画の現場で、彼女は人前での“回し”から、画面内の“間”へと重心を移した。そこに、現場で育てた身体の反応速度が、別ジャンルの「笑い」に換金される瞬間を見た。
IMDBやウィキデータ上のクレジット更新は、まだ断片的だ。だが、国際的データベースに小さく刻まれたIDは、画面に立つ仕事が、ジャンルを越えて「記録」として積み上がっていくことの証にもなる。英語圏のデータベースに記載された“最初の1本”は、のちに複数本目が追加されたときに、彼女の演技の変遷をたどる起点になるだろう。
“写真”の時間で試す素肌の可塑性──『Rima』が示したスタイリングの文法
写真集『Rima』での彼女は、映像の時間から切り離され、静止画の“秒針のない時間”に置かれる。PRESTIGE PHOTOGENICSのラインに載ったこの一冊は、露出や学生服といった強い記号を反復しつつ、和室の情景などで質感を変える。被写体としての彼女は、記号を着こなす瞬間に、記号から体温を剥ぎ取る。スタイリングが記号の圧を増すほど、表情はやわらぐ。身体的ボリュームと表情筋の脱力の“相殺”が、ページの呼吸を作る。
同作は電子配信プラットフォームでも広く展開され、商品ページの紹介文には、被写体の基本情報とともに、撮影のトーンが短く記述される。そこに添えられたテキストの「露出度MAX」「正統派の学生服」という派手なラベルを、そのままの表情でなぞらないのが彼女だ。静止画では、視線の揺れと口角のわずかな変化だけで、フレーム内の湿度を変える。写真の時間は、映像以上に“遅い”。その遅さの中で、彼女は微細な筋肉の調整で“抜く”ことを選ぶ。
同名の別フォーマット(電子/紙、グラビア版/ヌード版)が併存するラインナップもまた、彼女の「可塑性」に合う。写真集というフォーマットは、同じ主題をトーン違いで複数回試すことに向いている。商品ページ群の並びを俯瞰すれば、制作側が“どの記号を強調すると売れるか”をA/Bテストしていることが透けて見える。被写体としての彼女は、そのテストの中で表情の“抜き差し”を変え、同じ衣装でもテンションの異なる写真を提供している。
書誌情報の散らばりは、写真の受容が“分散”している事実の反映でもある。各所に置かれた同名商品の背後で、被写体の“遅さ”が媒介を超えて伝わる。書誌欄に置かれた身長やサイズの数値が、ページの呼吸に勝ることはない。静止画の彼女が選ぶのは、スペックの記述ではなく、筋肉と視線で作る“余白のデータ”だ。
セクシー女優としての魅力──“間”で魅せ、“回し”でつなげ、最後は声で落とす
ここまでのエピソードは一見バラバラに見えるが、通底しているのは「間」と「回し」と「声」だ。ツイキャスの音声配信で磨かれた“間”の読みは、プールサイドの喧騒でステージを“回す”言葉に変わり、リアリティ番組では“遅くなる勇気”として視聴のリズムを変える。そして劇映画と写真集では、決められた枠の中で“間”の引き伸ばし/圧縮を演技の方法にする。つまり彼女の魅力は、身体的な記号(スタイルや衣装)に回収されず、場の速度に介入する技術に宿っている。
音声配信は、観客の視線を奪えない代わりに、耳の集中を要求する。そこでのミスはすぐノイズになるが、彼女はノイズすら「素」として受け止め、軽くいじって次に進む。その柔らかさが、TREND GIRLSの“回し”で目の前の観客に向かい、ABEMAの“ピュア恋”では、過剰な演出に飲まれない抑制として機能する。フェス映画の現場では、その抑制が“笑いの間”に形を変え、写真集では視線の抜き差しとして残る。身体が武器である職業にあって、彼女の武器は実は“声で場を整える力”なのだ。
SNSの運用も、それを裏づける。盛り上がりの渦中でも、告知は短く、熱量の解像は現場のマイクで行う。「このあと23時から」とだけ言って、あとは番組に場を渡す。Xの軽口で自分の“多動”を笑い飛ばし、Instagramではイベントの「ありがとうございました」をきちんと返す。可視性の高さと距離の取り方が両立しているから、彼女の発信は“うるさくない”。その静かさが、実は最もセクシーだ。
最後に、イベントを駆動する生態系の中で彼女が担う“ハブ”の機能にも触れておく。ネットチェキ、ミーグリ、撮影会、メディア連携。そのどれもが“現場の温度を外に出す翻訳”を必要とする。彼女はそこで、短く、速く、必要なだけ喋る。役割に応じて速度を変え、間合いを調整し、声で落とす。この切り替えの滑らかさこそが、AVという高速回転の産業でも、劇映画や写真の“遅い時間”でも、彼女を“効く人”にしている。
情報源
ABEMAタイムズ:「“年商1億円超”35歳不動産経営者、24歳セクシー女優とカップル成立」
ABEMAタイムズ:「“年商1億円超え”35歳不動産経営者が積極アピール」
TRILL:「人気セクシー女優、男から言われた“衝撃”発言を暴露」
TRILL:「『男の人に対しての不信感もある』壮絶な過去」
WWSチャンネル:新井リマ 黒水着でTREND GIRLS 2025
YouTube(WWS):新井リマ 黒水着でTREND GIRLS 2025
WWSチャンネル:新井リマ ツインテール×水着でインタビュー 2024
YouTube(WWS):新井リマ ツインテール×水着 2024
exciteニュース:WWS再掲(黒水着インタビュー)
ABEMA公式YouTube プレイリスト「ピュア恋」
ABEMA公式YouTube チャンネル
ABEMA番組ページ:愛のハイエナ season4
ABEMA公式X:ピュア恋S4告知1
ABEMA公式X:ピュア恋S4告知2
WWSチャンネル公式X:新井リマ 動画告知
TREND GIRLS公式X:事前販売・ミーグリ案内
LivePocket:TREND GIRLS ネットチェキ事前販売(例1)
LivePocket:TREND GIRLS FESTIVAL ネットチェキ(例2)
LivePocket:TREND GIRLS 15秒動画販売(例)
LivePocket:TREND GIRLS イベント一覧
Instagram:新井リマ「ピュア恋ありがとうございました♡」
Instagram:新井リマ プロフィール
Instagram:イベント報告(例)
YouTube:ピュア恋S4 第1話フル配信
YouTube:ピュア恋関連ダイジェスト(例)
オリコンニュース:「『ピュア恋』新シーズン」
ツイキャス:新井リマ プロフィール/配信ページ
ツイキャス:配信アーカイブ(369件表示の例)
ツイキャス:個別アーカイブ例1
ツイキャス:個別アーカイブ例2
X(本人):プロフィール(LIGHT所属・デビュー記載)
X(本人):東スポ連載 最終回告知
X(本人):東スポ連載 第2回告知
X(本人):WWS動画 自己ツッコミ投稿
ローチケ:新井リマ(Adult)人物ページ
テアトルシネマグループ:OP PICTURES+『ネトラレ、純愛。』紹介
映画.com:『ネトラレ、純愛。』作品ページ
Filmarks:『ネトラレ、純愛。』作品情報
YouTube:『ネトラレ、純愛。』予告編
note(監督・堂ノ本敬太):公開情報
Instagram(監督・堂ノ本敬太)プロフィール
IMDb:Rima Arai 個人ページ
IMDb:Rima Arai Biography
Amazon:『Rima 新井リマ【グラビア写真集】』書誌情報
BookLive:『Rima 新井リマ【グラビア写真集】』
BookLive:『Rima 新井リマ【ヌード写真集】』
honto:『Rima 新井リマ【グラビア写真集】』
honto:『Rima 新井リマ【ヌード写真集】』
Google Books:『Rima 新井リマ【グラビア写真集】』書誌情報